いい子いいヤツいい私

世界を駆ける夢たちへ

#47Z世代の私が考える戦争と平和

ロシアによるウクライナ侵攻からもうすぐ1年。

最近は、「何が変わって、どうなったのか・どうなっているのか」すら

追いかけることをやめてしまった自分がいる。

戦争に関する情報は、攻撃のシーンとかセンシティブな情報が多すぎて、

見ていると、それだけで疲れてしまうから。

一方で、この戦争について、考えること、

情報を集めて何が起きているかを追いかけるのをやめてしまうことが、

本当は適切ではないことも、わかっている。

 

2023年が始まってから、戦争と平和について、

考えさせられる作品を観たので、感想とそのとき考えた事を

ここに残します。


今日取り上げるのは、この2作。

【舞台】Johnnys’ World NEXT(2023.1.20)
【映画】サイレント・トーキョー(2023.02.12 NetFlixにて)

Johnnys’ World NEXT STAGE

ジャニーズが毎年、年末年始にやっている舞台。

ジャニーズの作品ではあるけれど、ジャニーさんが若者に伝えたい、「平和へのメッセージ」が込められた作品だ。

今年は、東山さん、堂本光一さん、井ノ原社長が演出に関わっており、

例年とはまた違う構成になっていた。

さらに、NEXT STAGEと銘打っているだけあって、

フレッシュJr. だけで1曲やっていたり、

ジャニーズの先輩方が振り付けをしてくれた曲があったりと、

メインのHiHi Jets、美少年、少年忍者以外のファンも楽しめるものだった。

帝国劇場『JOHNNYS' World Next Stage』

 

いくつか戦争に関係するシーンを紹介する。

(記憶の中にあるものを思い出して書いているので、違うところがあったら、ごめんなさい🙇)

空襲に遭った兄弟のシーン。兄は弟をかばって、弟の前で死ぬ。毎年、誰が兄弟役をするか、話題になる。弟役を任されたJr.は出世株。

  • 若松フジオ(表記不明)さんの手紙

出征前の若松さんが、お母さまに向けて書かれた手紙を読むシーン。

「日本男児として華々しく散ってまいります。」など、当時まだ20歳になるかならないかの人が、戦争を前にして、家族を思いやり、日本の未来のために、戦うための覚悟をつづっている。

軍服を着た若松さんが、本当に舞台上にいるかのような気持ちになるから、

毎年辛い気持ちになるシーン。

  • 穴沢トシオ(表記不明)さんの手紙

特攻隊の一人である穴沢さんが、特攻前夜に書いた愛する人ちえこさん)にあてた手紙を読むシーン

特攻という、「必ず死ぬ」作戦を明日に控えた兵士が、愛する人の未来を案じる手紙は、本当に泣きたくなる。

「人を愛し、愛される」ことの尊さと、それを引き裂く戦争の悲惨さ、冷酷さが身に染みる。

(もう一つ、ライフルのパフォーマンスのシーンもあるけれど、

ここはパフォーマンスメインなので割愛。)

特に、今年の穴澤さんのシーンは、泣いた。

我らがリーダーHiHi Jets井上瑞稀くんが演じているのだけど、

今年の彼は素晴らしかった。

一つ前の若松さんのシーンは、兵士として、日本のために戦うという「覚悟」を

描いていた。そのため、演じていた川﨑皇輝くんも、力強い声で、

「立派な日本男児」像を表現していた。

一方で、この穴澤さんのシーンの井上さん。

今にも泣いてしまうんじゃないか、と思う声で、

愛するちえこに呼びかける。

ちえこ、私が行く前の最後のわがままを聞いてくれ…」

死を前にして、愛する人を置いていってしまうことの後悔や、

ちえこさんを案ずる手紙の文章が胸を打つ。

直接的に「愛してる」なんて、言わないけど、

彼女に対する思いが、痛いほどあふれた手紙。

それを演じる井上瑞稀くん。

毎公演このシーンでは泣いてたそうだ。(少年忍者 深田くん談)

それだけ、気持ちを入れて演じているし、

この役を演じるにあたって、戦争のこととかいろいろなことを考えたに違いない。

 

毎年、私がこの舞台を観た後、

「この舞台をジャニオタだけが観られるものにしておくのは、もったいない。

もっとたくさんの若者が観て、戦争について考えるきっかけになればいいのに。」

という話を友人とする。

それくらい胸に響く。

もう一つ、私がこの舞台を多くの人に観てほしい理由。

それは、「戦争を知らない世代が、戦争のことを演じているから」だ。

演じるという行為の裏には、「考える、解釈する、自分の中に落とし込む」など、

複雑な過程がある。

その過程の中で、同世代のジャニーズJr.たちが何を考え、どう演じていくのか。

その過程に思いを馳せると、私たち自身も戦争について考えるきっかけになるはずだ。

この舞台の中で、毎回ハッとさせられるセリフがある。

「戦争と無縁な人生が当たり前だと思ってるのは、

この国の人たち(日本人)だけなんだ。」

平和ボケと言われることもある、今の日本の現状を、

端的に鋭く言い表す一言。

周りを見れば、現在も戦争をしている国もあるし、

いつか来る戦争に備えて、徴兵制を実施している国もある。

「明日、戦争に駆り出されるかもしれない」なんて不安もなく、

長く続くであろう平和を享受できている私たちがいかに幸せな国民か。

当たり前のことは、決して当たり前ではないのだと

突き付けられる一節だ。

 

 

サイレント・トーキョー

聖夜の東京を爆破テロが襲う――巻き込まれ、翻弄されゆく人々…
世界的なXmasの名曲に彩られた2020年冬最大のサスペンス・エンターテイメント!遂に始動!(公式サイトより)

一見、普通のサスペンスと思われる作品であるが、戦争に関して、

忘れてはならないメッセージがあった。(以下、少しだけネタバレ含みます)

www.toei.co.jp

作品の中で、犯人たちは、首相との対話を交渉の条件とする。

時の首相は、「日本を戦争ができる国」にしようとしていた。

一方で、犯人たちは、ある戦争の後の地雷処理をしていた自衛隊の部隊と

何らかの関係がある人たち。

彼らを通して、首相の政策を考えたとき、

普段は考えることのない戦争の負の面が見えてくる。

回想シーンでうっすらと描かれるのは、

地雷処理という仕事を任された自衛官たちのその後。

幾度となく、戦争の様子や地雷処理の場面を思い出し、

その苦しみが何度も彼らを襲う。

精神的にむしばまれていく彼らを支える人たちも、

また、私たちが想像できないような悲しみや苦しみと向き合わなければならない。

国を守る政策を作るのは、「国」。

だけど、その政策を実行するために働くのは、「国民」なのだ。

国民を守るために働く、自衛官だって、国民だ。

「戦争ができるようにする。/戦力の保持を可能にする。」

言葉にすることは簡単だが、

それを実行するためには、より多角的な視点からの議論が必要だ。

もしも、戦地に行った人が、精神的な病にかかってしまったら?

働けなくなるくらいの大けがを負ったら?

国のために、身を捧げた人たちのその後の人生を、どうやって補償するのだろうか?

計画を完遂しようとしていた朝比奈仁の最後の言葉が胸に響く。

「もう一度、この国の人々を信じてみてもいいのでは?」

日本という国家に絶望した犯人たちが、次世代に繋いだ希望。

私たちは、もう一度、「戦争をすること」について考えなければならない。

 

終わりに

終戦からもうすぐ78年。

戦争経験者から生の声を聞くことは、どんどん難しくなっている。

戦争経験者が、0になる日も近いのかもしれない。

 

そんな、今、私たちZ世代ができることは、

「誰かが経験した戦争を通して、事実を知ること。当時の苦しみを知ること。」

テレビ、映画、漫画、本、舞台…

どんな媒体を通してでもいいから、その時代を生きた人が、

何を考え、何に苦しみながら生きていたのかを知ろうとすること。

まずはこれが、戦争という悲劇を繰り返さないための第一歩である。

できれば、当時の明るくてきれいな(きれいに切り取られた)部分だけを見るのではなく、

暗くて思い出すのもつらくなるような部分も知る努力をすること。

 

78年前に私たちの先祖たちが経験した苦しみを、私たちの下の世代に伝え、

同じ苦しみを彼らにさせないようにするのが、

今を生きる私たちの役目なのではないか。